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<<   作成日時 : 2012/08/11 13:44   >>

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 8月4日(土)、Nob Yoshigahara Puzzle Design Competition(IPPパズルコンペ)の今年のエントリー作品のリストが公開されました。

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 実は、出品者にはその2日前にメールで「(4日の)土曜日に公開する」と連絡が入っていました。コンペ審査員のチェア・マンが住むサマータイム中のアメリカ西海岸と日本との時差は16時間であちらが4日になるのは日本の4日16時。そこで、16時ちょっと過ぎにウェブ・サイトを開いてみたらきっちり予告通りに公開されていました。

 今年は80作品が出品されました。
 2001年の第1回からのエントリー数は順に、54,61,52,59,57,54,55,57,80,62,72で、エントリー数80は2009年と並んで最多、数が多いこともあってか初見では作品バリエーションが豊富に感じられました。

 ところで、エントリー数が急に増えた2009年の翌年からコンペのルールに「エントリー数が60を超えた場合、審査対象の作品数を60未満に減らす1次審査を審査員は行うことができる」といった内容の一文が加わりました。
 2009年には「作品すべてをじっくり見ることができないまま投票せざるを得なかった IPP参加者が多くいたようだ」という話をそのときの参加者から聞いていたので、そうならないための措置として、私は「閲覧会場に並べる作品数を60未満に減らす」のだと思っていたのですが、エントリー数が60を超えた昨年も一昨年も、これまた参加者から聞いた話では閲覧会場に並ばなかった作品はないようですし、今年になって、私のルール解釈はまちがっていたらしいと気づきました。ですから、昨年書いた記事には大きな誤りが。考えてみれば、IPP参加者自身の出品作もかなりあるわけで、閲覧会場で「オレの出品作が置かれていない!」ということになったら一悶着起こってしまいますね。
 ルール追加は jury members による審査が効率的に行えるようにするための措置で、6名による審査の前に審査対象作品を60未満にする1次審査が行われる場合があるということなのでしょう。では、6名の審査の前に何人の誰が1次審査を行うのか?その判断基準は?という疑問がわき起こりますが、それもこれもいっさい、ずっと公表されることはないでしょうから、こんなことを書いているだけ無駄ですね。
 なかには「ウェブ・サイトでの公表前に予選があって予選通過しないとエントリーされない」と思っている人もいるようですが、これはないですね。出品を申し込んで手続きを正しく済ませれば、どの作品もサイト上のエントリー・リストに載り、閲覧会場にも並べられるわけです。

 さて、昨年の結果発表前にいくつかのエントリー作品について自分なりの検討結果や感想を書きましたが、今年も同様のことを。以下、公開された範囲の情報から実際に解いてみたり、解法を推測したものについて記しておきます。(なかには、自分のつくるパズルのことを棚に上げての酷評に近いことも)

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 まず、これは作品名を伏せます(仮称で「B」とします)が、写真と問題文を見てすぐに「これは過去の出品作(入賞はしていない。仮称で「A」とします)と要のアイディアが同じだ!」と思った作品がありました。
 「A」と「B」の作者が同じならば全く問題ないけれど、そうでないとしたら「A」「B」どちらの立場も微妙だなあ(別の作者の場合、「A」の存在を知っての出品だったらさらに問題は大きく、知らないところで同じアイディアに行き当たったとしても審査員を含めた IPP参加者が「A」のことを思い出すことなく「B」を好評価してしまうなら「A」の立場がない)と思い、過去の出品作である「A」の作者にそのことを伝えることにしました。すると「実は(「B」も)私の出品作」という答えが返ってきたので、他人事ながら「それはよかった」と一安心。「お気に入りのアイディアなので、それをいっそうはっきりと認知してもらえるよう、作品の仕様を大幅に変えて出品してみた」とのこと。私もずっと「いいアイディアだなあ」と思ってきていて印象が強いのですぐにそうと気づいたわけですが … さあ一安心したところで、この文の「A」「B」がどの作品なのか、あなたはわかりますか? (いずれこの話の続きをしなければならないときが来る予定)

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以下、作品番号は IDC 2012 Booklet Summary にあるとおりです。下のサイトから PDFファイルをダウンロードして見ていただくのがよいかと思います。

http://www.puzzleworld.org/DesignCompetition/2012/

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 「やられた!」と思った作品。

02: 13 Triangles
 コンペに入賞するかどうかはともかく、個人的に「やられた!」としか言いようがない作品です。13ピース解、私自身で見つけたかった! (もう10年以上前のことだけど、しっかり数値計算をして、もっと真面目に取り組むべきだった。でも、まだ別の13ピース解あるいはそれ未満があるかな?)
 ピースに格子線を入れたのもいいアイディア(このレーザー彫刻はかなり時間がかかり、その分コストもかかる)だし、しかも2問遊べる設定にしてあるようで、よく考えられています。

41: Lock Device
 ピースたちの形状をひと目見て「ストッパーなしの “Snake Catcher”! やられた!!」と思いました。
 「抜けないオミノ」というパズル・コンセプトは既存で、私もかつてその解探究に少々かかわったことがあるのですが、 “Snake Catcher”(北沢忠雄さん原案)と「抜けないオミノ」を融合させる、そのことにこれまでなぜ全く思い至れなかったのかが大いに悔やまれます。
 そして、この作品の5ピースは似た形状で統一感がありながら、全く同じものはありません。(「抜けないオミノ」では同形ピースでのそれが探究の中心。異形ピースはあまり論じられなかったと思います) 解を見いだすまでに私が要した時間は30分くらい、そのトライも楽しかったし答えも素晴らしい。同形ピースを混ぜることを許せばピースの単位数合計をもっと減らせるけれど解くのが易しくなるし、同形ピースなしの5ピースではこの作品のピース選択がベストだと思います。
 今年のコンペ出品作のうちの平面パズルのジャンルでは、これがいちばんの傑作でオススメ作品。平面パズルのジャンルから入賞するとしたら、この作品以外にはないと思います。Jury Honorable Mention 辺りに入賞するかも。(コンセプト自体は全くの新奇ではないと思うので、Jury Honorable Mention より上は難しい気がします )

 -- ちょこっと追記(8月12日早朝) --

 「コンセプト自体は全くの新奇ではないと思うので、Jury Honorable Mention より上は難しい気がします」と書きましたが、一人遊び的だった「抜けないオミノ」の探究とはちがい、そのコンセプトを誰もが愉苦しめるパズル問題として活かしたことは新しく、ベストなピース・セレクションを見いだしたその価値は昨日まで思っていたよりも大きいと考え直しました。Jury Honorable Mention より上もありえそうです。
 解が見つかればわかることですが、5ピース45単位には1単位の無駄もありません。解を眺めると1単位省けそうな箇所があるのですが、その1単位を取り除くと回転で抜けてしまいます。
 こういうパズルを考え出せるパズル・デザイナーは世界広しと言えども…そうはいないでしょう。(いや、パズルの世界はけっこう狭いか)

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 上の2作品以外にもう一つ「やられた!」と強く思う作品があるのですが、それは私がずっと以前から考え続けていてまだ納得できる実物を完成できていない、それと作品テーマが同じもの。むろん、完成形が全く同じにはならないけれど、完成しても「既出作品と同コンセプト」とか言われてしまうかも。完成したあかつきにはコンペ出品を目論んでいたけれど、その夢はついえたか…な。

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 「やられた!」と思わなかった作品。

38: Just One More
 どこかで見たような。いまさらこのような作品が出品されるとは。この作品の中心的なコンセプトは借り物だと思うし、ピース数を増やして平面詰めパズルとしての遊びを増やしたところがミソなのかも知れませんが、そのアイディアもピース選択もいまひとつ。写真にある内部の6×6正方形への8ピースの収め方が 214通り、モノキューブを加えた9ピースの収め方は 640通りもあります。せめて後の方だけでもユニーク解となるようなピース構成なら少しはよかったのに。写真から作品自体はウォルナット等で精緻につくられているのが見て取れるけれど、それだけの労力はもっと新鮮なアイディアに費やさなければもったいないでしょう。

 なお、下は2002年に私が Judas Ark シリーズを考えた同時期にデザインしたパズルのうちの一つ、図形トリックと平面詰めパズルとしての難しさの両方をねらったもので、パズルの意図は上の作品とほぼ同じかと。

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 当時、このプロトタイプをパズル懇話会で Judas Ark とともに回覧したら「ピースの形がシンプルなものの方がずっとよい」と会員2人から言われたので、それ以来お蔵入り、結局 Judas Ark シリーズだけを製作、公表することにしました。画像にあるのはテトロミノのI(アイ)を「正方形の中に含めよ」という問題ですが、他にL,N,O,Tそれぞれを入れる問題の図も残してはあります。いずれも、もう1ピースを正方形に含めるにはかなり大胆な並べかえをする必要があり、ピース数は多いしちょっとヤリスギ感がありますね。

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04: 3H=6T
 たぶん作者はあの人。

15: Butterfly & Flowers
 「花が女か、男が蝶か…」というのは森進一の持ち歌。作者は日本人かな。開け方は想像どおりでしょうか?

29: Ferris' Box
 パズル名に開け方のヒントがある?

56: Puzzle in a Puzzle Box
 2009年の出品作に“Pyramid in a Box”(Thomas Beutner)という、よく似た作品がありますが、それとの関係は?

03: 3 Color Cube
09: Befuddling Butterfly
34: Heptagon 48
49: New 3-4-5iamonds
65: StarHex II
76: Washington Skyline
 ピース数や解数が多すぎるのが難点、という気がします。

11: Bloom
20: Chaplin
 それぞれ洒落ていると思いますが、パズルとしては易しすぎで AHA! がありません。
 11の正確なピース形状は再現できませんが、並べ方はすぐに察しがつきますね。あとはピースをどの順に並べればよいかだけ。

69: Triangle-Square-Pentagon
 これはピース構成もつくりも洒落ておらず、易しすぎの答えもいまひとつ。

79: XXXII
 古典的なアイディアそのままの答えでなければいいけれど。

27: Double Symmetry
28: Eyjafjallajökull-Puzzle
 「シンメトリクス」(北沢忠雄さん作)系の2作品。「線対称形づくり」というコンセプトの魅力はまだまだ健在のようですが、IPPでは何番煎じになるのかな?
 27は「同時に二つの線対称形をつくれ」という問題と1ピースが板に貼り付けられて固定されている点は新しいけれど、私が見つけたピースの並べ方が作意どおりだとすると、やはり易しすぎ。実は、同じピースの並べ方で解の解釈は2通りできるわけですが、その一方はこじつけめいており、もう一方が作意解だとすると「IPP32」のロゴがじゃまです。さて、どちらが作意か?
 28は、これも易しく、似たような2解がすぐに得られます。既存の「線対称形づくり」パズルのいくつかに挑戦したことがある人にとってもそうでない人にとっても、ピースの並べ方とできる形はいたって普通で、解の意外性は皆無、と言っていいでしょう。

51: Pack-Man
 好きなジャンルのパズルですが、こういうキャラクターを流用している点は私好みではありません。

17: Caged Polycubes
 この4×4×4の枠にピースを詰め込むパズルは、私もずっと以前にしばらく検討したことがあるのですが、よい成果は得られませんでした。また、私がボツにしたものと類似の作品をその後見かけたこともあります。フルに32単位詰め込む場合、当然といえば当然なのですが、最初の1ピースあるいは数ピースが窓からポロポロと1手で抜け落ちてしまいます。この作品も同様でしょうが、既存品よりはよく考えられている感じがします。
 枠に使われている肌色っぽい樹種は何でしょう? きれいです、使ってみたい。

75: W8-Variation
 テトラ・キューブ8ピースは、8ピースそれぞれの形の2倍体(2倍は相似比。体積は8倍)がつくれますが、それのペンタ・キューブ版。このアイディアは「なかなかいいな」と思ったのですが、できる立体は8種ピースのうちの一つだけで、市松ピースにしたけれどユニーク解でもなく。せっかくのアイディア、もうちょっと練ると、よりよいパズルがつくれそうな気がします。あるいは、このピース・セレクションがベスト、といえるところまで解析した結果でしょうか?

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58: Rattle Twist Duo
78: W-Toast
 私がつくらせてもらったものとは樹色の取り合わせやパーツの合わせ方がちがいますが…がんばってもらいたいものです。ポリ・キューブ・ピースの組木系作品は久しく入賞していないけれど、今回も含めて今後このジャンルからの入賞者が出るとして、その最右翼はこの人だとずっと思っています。

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 ルービック・キューブを始祖とする(と言っていいと思いますが)回転系、いつの頃からか twisty puzzles と呼ばれているようですが、そのテのものが今年は8作品エントリーされています、80作品中の1割というのは多いですね。この、私には特殊と思えるジャンルの設計者がそれほど大勢いるのでしょうか? 少数の設計者が複数エントリー(1コンペにつき最大3個までエントリーできる)しているのかな?

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 その他、組木、からくり、スライドパズル、知恵の輪、デクステラティなど、実際に実物を目の前にしたりさわってみなければわからないものが当然ながら多数。特にコインを取り出すパズルやキャストパズルっぽい作品はさわってみたいものです。(コインを取り出すパズルとか、そういう作品はいつか自分でもつくりたいなあ)

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 長々と書いてきましたが、そろそろ終わりにします。
 最初のほうの文から、今年もまた、私が出品していることは察せられていることと思いますが、どれが私の出品作か、それはまだ伏せたままにしておきます。今年はかなり極秘裏に出品に向けての作業を進めてきました。(そうは言ってもごくごく一部の方に明かしてはいます) 80作品中のどれが私の出品作か、一つなのか複数なのか、あなたは当てられるでしょうか? もしよかったら推測してみてください。

 もっとも、コンペのスケジュールによると、8月12日(日)には今年の審査結果がパズル・パーティー会場で発表されるとのこと。パーティー会場があるサマータイム中の都市と日本との時差は13時間、あちらの12日21時は日本の13日午前10時。早ければ日本時間の13日午後あたりには少なくとも審査結果は公表されるでしょう。(すべての作品の作者名が明かされるのは、たぶん、そのもうちょっと後)

 今年の Nob Yoshigahara Puzzle Design Competition というお祭りも、終了間近です。

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内 容 ニックネーム/日時
ちょこっと追記。
MINE
2012/08/12 08:31
75。 W8-VariationをデザインしたDonghoon Peeとしています。第パズルはWを基本格好にして接した部分の
回転を介して取得することができる8つの部分から成り立っている私製作することができる方法が不足している
ただ付けたものです
興味があればfacebookでPeedonghoonに入って見れば、様々な形を作っておきました
関心を持っていただき感謝して暖かく幸せな冬になってください
W8
2012/12/07 01:45

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