ちいさなひみつ箱

 外寸約 56mm×56mm×62mm の上製紙貼り箱、この中に「ちいさなひみつ箱」が収められています。第6回・全国「木のクラフトコンペ」の観光工芸品部門で特別賞を受賞した作品、作者は若手の木工家・篠田英治さんです。

画像

 「この紙箱に入る程度の大きさの秘密箱ならさほど珍しくないのでは?」というつぶやきが聞こえてきそうですね、はい、想像されるとおりの大きさのものならさして小さくもありません、おっしゃるとおりですが、まあ順を追って話させてください。

 まず、第6回・全国「木のクラフトコンペ」 All Japan Wooden Crafts Competition は、小田原・箱根木製品フェア2010実行委員会の主催で実施されたものです。その入選作品・出品作が、今年10月22日(金)~24日(日)の3日間、小田原・箱根木製品フェア2010の会場内に展示されました。

 では、紙箱を開いてみます。何やら金属製の丸いフタのようなものが見えますね。

画像

 中身を取り出すとガラスの小瓶が。
 
画像

 その瓶の側面には次のように書かれています。

画像

 さて今度は瓶のフタを開けて、いよいよ「ちいさなひみつ箱」を披露します。

画像

 もうちょっと近づいて撮影、はい、これが「ちいさなひみつ箱」、その大きさをイメージしやすいように隣に十円玉を置いてみました。(十円玉はこの製品には含まれていません。念のため)

画像

 本体サイズ W18mm×D16mm×H12mm。その小ささも然る事ながら、さらに驚くべきは外部パーツの寄木細工の細かさです。6種6色の銘木を厚さ1mmの板状にして貼り合わせ、それを2mm幅に裁断し樹種をずらして再度貼り合わせ…と、そのような工程を経てつくられた寄木原木から直方体の「ひみつ箱」6面のパーツが切り出されているのです。厚さ1mmあるいは2mm。エッジはすべて丸く面取りされています。内部パーツには無垢の木が使われていますが、それらも当然ながら非常に小さな部品です。

 最後は「ひみつ箱」を開けてその蓋パーツを外した写真です。(この実物を手にした人の開ける楽しみを奪ってはいけないので、開ける途中の写真は省略) 開けるのにかかる手数は4手ですから決して多くはありませんが、このサイズでそれより長い手数を望むのは無理無体というものでしょう。「からくり箱はたとえどんなに小さくとも内部にものを収められるその大きさ相応のスペースがなくてはならない」のですから。

 
画像

 作者の篠田英治(Shinoda Eiji)さんは、私MINEがいつもお世話になっている木工所に勤めていられる若手ながら腕のよい木工職人さんであり、私のパズル(近作では Quartet シリーズなど)の製作も請け負ってくださっている方です。(また、からくり創作研究会の製品の中にも篠田さんらが製作されたものが多々あり) そして、個性的で斬新な工芸作品等々を自らデザイン・製作されている木工作家さんでもあります。

 私の知る範囲では、秘密箱としては最小のこの作品(身長10cmだというアリエッティには十分に大きな箱だろうけれど)、ご本人のコメントにもあるように強度も考慮に入れつつ木工職人としての技術の限界を探ってみた、ごくごく小さいながら大いなる意欲作、実験作だと思います。
 そして、この試みの経験も踏まえて、篠田さん、きっと今後いっそう私たちを魅了する作品群を産み出していってくれることでしょう。

 これを入手された方、さて、この箱に何を収めますか?

この記事へのコメント

MINI
2010年11月30日 09:28
最近、小さめな作品を多く扱っているせいか、ニックネーム欄に無意識のうちに MINI と打ってしまいました。面白い(私的には。そう面白くもないか)からそのままにしましたが、MINEです。

先日、秘密箱方面について詳しい方が「この『ちいさなひみつ箱』は、これまであった豆秘密箱よりもひとまわり以上小さい、最小記録を塗りかえた目下世界最小の秘密箱だと思う」とおっしゃっていました。
そうではないかな?とは思っていたものの断言できずにいたのですが、やはり世界最小と言ってよさそうです。
「いやそうではない。これより小さいものがあるよ!」とおっしゃる方はいられるでしょうか?

それとは別の話ですが、この箱の中に「3本組木が2個入りました」と知らせてくれた方がいます。その道ではすこぶる有名なアラン・ボードマン作の極小組木です。

この記事へのトラックバック