ペントミノでシンメトリ

 
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 とりあえず写真だけでスミマセン。
 とある急な話が舞い込んできたため、またもパズル製作やパズル紹介の中断を余儀なくされ。

--- 追記 --- 2011/03/03 ---

 過去、「対称形」にかかわるパズル問題が皆無では決してなかったでしょうが(「線対称形はどれ?」「点対称形はどれ?」というストレートな問いも含めて)、「いくつかのピースを並べて線対称な形をつくれ」という問題設定を明確に打ち出したメカニカル・パズルの最初の作品が北沢忠雄氏の “SYMMETRIX”シリーズ(2003年にその第1弾が公開された)であることは間違いないと私は思っています。以来、日本に限らず海外でもその問題設定を踏襲したパズルが時折見かけられるようになりました。

 そうした中、また一つパズルの解き手を大いに刺激する作品が考案されました。
 濱中裕明氏の“Ex4”シリーズです。

 その第1弾、2010年12月21日に「低次元日記」でピースの詳細データと問題内容が公開された “type-B”に、師走のそれなりに忙しい時期でしたがさっそく挑戦しました。図形ソフト上での解答図の清書に要した時間も加えてトータル約4時間、問題文に記されていた数の解をようやく見つけて「解き終えた!」と思っていたら、大晦日のO>:KH>さんとのメールのやりとりから解の個数の記録を更新することができるとわかって全7解となり、そんなこんなでたっぷりと愉しませてもらいました。

 また、相似な直角三角形(内角は 30゚,60゚,90゚)4個というシンプルなピース構成というのが何とも濱中さんらしく、とてもスマート!

 ただ、気になるコトもありました。それは濱中さん言うところのフェイク解(一見線対称形に見えるが実は正確に線対称ではない形)がけっこうたくさん存在する点。私自身は厚紙でつくったピース表裏の辺すべてに辺長の数値またはそれがわかるような記号を書き込んでその都度「正しく線対称かどうか」をチェックしながら解いていったのでフェイク解を正解と見誤ることはなかったのですが、数値や記号のない素のピースでトライした人はそうしたフェイク解を正解と勘違いして終わりにしてしまうおそれがなきにしもあらず、だから「少し解き手を選ぶパズルかも知れないなぁ」と。

 年が改まり、濱中さんとの個人的な電話やメールでのやりとりで、その件とともに私自身もそのピース構成にならって別の解の形になるピース構成を探ってみていることも伝えました。そうこうするうち、1月末に濱中さんご本人が新たに“type-D”を案出されました。

 その時期はちょうど私が他のパズルのレーザーカット用図面を描いていたとき、MDF板やアクリル板の余白部分で何か別のパズルもつくれるなあと考えていたときだったので「もしよかったら少しつくりましょうか」と濱中さんに話を持ちかけ、そのような経緯で出来上がったのが冒頭写真の左側の “Ex4” 2種です。

 表がMDF木地色(クリア塗装)で裏が黒色のものが“type-B”、辺長に含まれる無理数を意識しなくても遊べるように、○と△の記号で各辺の正確な長さがわかるようにしてあります。
 乳白色のアクリル・ピースのものが“type-D”です。これまでにわかっている範囲で “type-B”が全7解であるのに対し、“type-D”は作意の1解しかいまのところ見つかっていません。こちらは “type-B”と同じように各辺に記号をつけると記号が多くなりすぎてしまうので、等長の辺だけにシンプルに同じ記号をふってあります。

 さて typeのBとかDとか書いてきていますが。
 実は未公表の“type-C”がBよりも前の最初の創作品としてあり、B,C,Dはそれぞれに英語の名前をつけたその頭文字なのだと濱中さんが教えてくれました。これ以上のことはご本人の希望もあるので書きませんが(いったん少しだけ書いたのだけれど削除)、Dはその英語の名前のとおりに難しい!とだけ言っておきます。 (実はそう短くはない時間考えてわからなかった私は恥ずかしながら答えを教わってしまいました。解の形がわからないものをつくるわけには行かない、製作スケジュールの都合でやむを得なかったのよ、というのは半ば以上言い訳)
 腕に憶えがあると自負するソルバーはぜひとも挑戦するべし!
 あぁ、でも WEB-SHOPに出せるほどの数はつくってない。(-_-;

 またもさて、話を “type-B”に戻して。
 裏返して使うピースの枚数によって複数ある解を分類して問題を分けるというアイディアも上手い!
 すでにお気づきの方もいるでしょうが、はい、“RHOMBI”や“Natural Numbers” は、そのアイディアをしっかり拝借しています。

 そして、ようやくこの後が本題、ペントミノの話になるのですが、うーん、ここまで書くのに約6時間、今日はここまでということで、またもスミマセン … to be continued.

--- 追記 --- 2011/03/04 ~ 2011/04/02 ---

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 改めて書くまでもなく、ペントミノは単に「5×12に収めよ(1010解)」とか「6×10に収めよ(2339解)」というような長方形詰め問題だけでなく、多種多様な遊び方のバリエーションが考えられ遊ばれているパズル・アイテムです。(どんな問題が遊ばれているか、ウェブで検索すれば1年やそこらでは遊びきれない量の膨大かつ多種多様な問題の情報が得られるでしょう)
 ペントミノに関して私はそれほど熱心に研究しているわけでもないのですが、ちょっとした思いつきからユニーク解問題探しを試みることがときにはあります。ここで、そんな中のひとつを紹介してみると。

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 上の “F is F”(と読んでください)他は、それぞれペントミノ1セット12ピースを使って、すでに使われている3ピース以外の9個のピースで3倍体のFペントミノなどをつくる問題で、ユニーク解になるケースだけを選び出したものです。これらはそれなりに解くのに時間を要するでしょうが傑作と言えるほどのモノではありません、まあつまり、創意によっていろいろな問題がつくれますよ、という話です。

 さて、北沢さんの “SYMMETRIX”の問題設定を踏襲し「ペントミノでシンメトリ」なかでも「非線対称ペントミノ6種のうちの異種2~3個を組み合わせて線対称形をつくる」という問題にしぼって私が検討を始めたのはもう5年程前のことです。
 もっとも、私の身近な例ではジャグラー小田原さんが2個の場合について私よりもずっと以前に調べていたことを、後日知りました。これは “SYMMETRIX”とはかかわりなく発想された取り組み。また、比較的最近、海外でも2個の場合について同様な検討がなされている例があるのをウェブ上にて発見、こちらは “SYMMETRIX”よりも時期は後だと思いますが、“SYMMETRIX”とかかわりがないのかあるのか定かにはわかりません。改めて考えてみれば「ペントミノで対称形をつくる」という問題設定は、ペントミノ問題のバリエーションの一つとして当然考え得る、多くの人が思いつくものである気もしてきます。

 ともあれ「非線対称ペントミノ6種のうちの異種2~3個を組み合わせて線対称形をつくる」という問題の全解探索に取り組み始めて2年ちょっとが経過した頃(もちろんずっとこの問題だけに取り組んでいたのではありませんが相当な時間を費やしたことは確かです)、完璧な全解データがほしくなり、それまでのように「手で解いているだけでは見つけた解が全解であるという確証が持てない」ので、例によって困ったときのk16頼みをしてようやく「全解であると断言できるデータ」が得られました。そして、解の個数のデータをそれ以前に手で解いていたときのデータと比べると(当然ながら)解の漏れが多数ありました。(^_^;
 そこで、信頼できる解の個数のデータに基づいて再び解の形探索(どうしても見つからないケースでは、エヘ、k16氏による解の形のテキスト・データをカンニング)、そのようにしてようやく解の全貌が明らかになりました。
 なお、k16氏には「点対称解のデータ」と、これはもう手で解いて全解制覇するのが不可能に近いであろう「非線対称ペントミノ6種のうちの異種4個を組み合わせて線対称形・点対称形」の解検索もお願いし、これについても完全解明してもらいました。

 そこまでのデータ解析を試み、結果を出した例は後にも先にも他にはないでしょう。

 しかしながら、その後、このデータをどう活用しようか公開しようか、活用できないまま公開しないままに、さらに2年半ほどが経過…。

 そんなときに濱中さんの「裏返して使うピースの枚数によって複数ある解を分類して問題を分ける」というアイディアに接し「そうか、そのようにすれば、より完全な、細かく問題をチョイスして遊ぶこともできるデータがつくれる」と考えて最終データをまとめ上げ、表裏を別の色に塗り分けたMDF板を使ってレーザーによりペントミノを切り出すことにしたのでした。

 以上、長い話となりましたが、苦節5年(所要時間は優に100時間超)の結果、ようやく生まれたのが「ペントミノでシンメトリ」、この製品版は、解を分類(線対称の場合の対称軸がピースの辺と平行か斜め45゜か、裏返しピースがあるかないか、点対称解があるかないか)したそれぞれの個数および総数のデータが主(しゅ)で、実物のペントミノ・セットが従である、と言えるでしょう。

 データの全貌は冒頭の写真にある用紙を入手してご覧いただきたいわけですが、ここで1問だけ紹介することにします。

【問題】
 ペントミノF,Y,Zを重ねずに組み合わせて線対称形をつくってください。裏返し可。


 この問題の答えは1通りではありませんが、むやみやたらと多いわけでもありません。実はこれも k16データをもらう前には全解をゲットできていなかった問題の一つ、恥ずかしながら「1解しかない」と長く私が思い続けていたものです。

 コンパクトなペントミノ・セットとシンメトリ問題の数問をメモでもして携行しさえすれば、ここかしこでの手持ちぶさたな時間に愉しめる格好の暇つぶしになるでしょう。何よりたった3ピース前後で気軽に遊べるのが魅力。しかも、使うピースを変えることにより遊べる問題のバリエーションも豊富。そして、決して易しすぎる問題ばかりでもなく…トライしてみれば、きっと次のことを実感してもらえることでしょう。

  「たかが3ピース、されど3ピース」

この記事へのコメント

prime_132
2020年11月14日 15:58
異なるペントミノ2個で点対称図形を作ることができるでしょうか?

「数学セミナー」(日本評論社) 2020年12月号
"エレガントな解答をもとむ"
■出題1
http://www.web-nippyo.jp/elegant/
MINE
2011年05月12日 15:03
あ、テトラキューブも非対称ペアのうちの1種を選択するのでした。
MINE
2011年05月12日 14:59
Ototoさん、面白い発想・提案ですね。
完全に非対称なポリキューブは、テトラキューブには1種類しかないかな。ペンタキューブだとペアの6種のうちの一方を選んで6種類か。まずは、そのあたりから3ピースを選ぶことにしましょうか。
Ototo
2011年05月12日 14:14
今朝、通勤の運転をしながら思いついたんですけども、

鏡像対称ではない立体ポリオミノ3個を使って、鏡像対称なポリオミノをつくる、

というのはどうでしょう?ライブキューブで遊ぶと楽しい。
MINE
2011年04月02日 13:11
ようやく追記が完了しました。

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