LEO

 どの分野でも、材料の無駄を良しとする職人さんはいないでしょう。いや、これは職人さんに限ったことではないですね。

画像


 もちろん、いつも私がお世話になっている職人さんたちも、皆、材料を無駄にすることは嫌いますし、かくいう私も常に材料の節約を心がけています。

 例えば、MDF板にしてもアクリル板にしても、レーザーカット後に棄てなければならない部分が最小限になるように図面を描いたり(それがためにかかる時間は数倍に。これも一種のパズルです)、また大抵の場合、製作個数も材料の区切りがよいところまで、と考えて決定します。

 さらに。

 前記事の “RITRI-14” のようなパズルを製作する際、そのパズルの図面さえ仕上げればすぐつくり始められるわけではありません。

  “RITRI-14” では、トレイの製作時に片面を黒色塗装した10cm×10cmの正方形のMDF板が切り出されますが、それをそのまま無駄にしてしまうのはあまりにももったいない。
 そこで、その範囲内に収まる別のパズルの図面を描き入れるようにして、複数のパズルを同時に製作するようにします。(もちろん、支払う製作費はその分増えます)

 さて、そのような隙間を利用してつくるモノとしては、シルエット系のパズルのピースが最適なのですが、さあ困りました。検討中のモノはいくつかあるものの、いずれもまだ製作できる段階には至っておらず。
 それに “RITRI-14” で余るのは片面が黒色で裏側は生地のままのMDFです。そんな板をどう生かすか?

 そこで、シルエット系ではない全く別のジャンルのパズルを新たにデザインすることにしました。

 知恵の輪です。

 そして、本格製作前に、端材から切り出してもらった試作品が、油絵風の処理を施してみた次の写真にあるモノ。

画像

 ピース本体は、厚さ3mmのパーツ2枚を貼り合わせ厚みを倍にしてあります。本格的に製作するときは両面とも黒色になり、エッジもレーザーカットの焼けこげで黒色に近い焦げ茶色になります。

 そのようにしてつくる2ピースのわずかな形状の違いは、写真でおわかりいただけると思います。
 丸い穴の部分に切れ目がある方がデザインの元、これは十二宮図(zodiac)の中の星座の一つである獅子座のシンボルマークがモチーフ、だからこの知恵の輪の名前は “LEO”。

 もう一方の形から別のシンボルを想像するようなことはなさりませぬよう。作者にそういう意図は毛頭ありません。

 ピース断面が円形でなく方形であるため、写真の状態の位置でピースを 回転させることはできません。そのことがこの知恵の輪を外す際の最初の大きな障碍になっています。
 また、ボール・チェーンの長さをわずかにゆとりを持って外せるギリギリに調整したことで、知恵の輪として当初の構想以上のものに仕上がりました。

 知恵の輪に慣れた人でもあるいはそうでない人でも、組み外しの要の部分がどこであるかは容易に想像できるでしょうし正にそこが要なのですが、これを実際に手に取った初見ですぐに外せる人はそう多くないのではないでしょうか。

 ピースに力を加えることなく、またチェーンを無理に引っ張ってのばしたりすることなく2ピースを外してください。
 いつもチェーンが少したるんだ状態のままの、一連の操作でちゃんと外すことができます。


 “with no force” というわけです。

 この知恵の輪、元々隙間パズルですし、無理な力を加えれば MDF製のピース本体はたわみますが、ガラスの知恵の輪ほどヤワではないので、まあ、最初から壊すつもりで乱暴に扱うようなことがなければ大丈夫、遊んでいて破損してしまうことはないでしょう。

 もしトライして、どうしようもなくチェーンがからんでしまって二進も三進も行かなくなったら、どうぞ、チェーンのコネクター部分を外してリセットしてください。もちろん作者たる私はそんなまねを…たった数日のうちに何度も何度も繰り返しています。

 それでも、これ、本当は「鍛冶屋の知恵の輪」のような感じで、金属製でしかももう少し大きめにつくるのが理想なのですが、残念ながら現在の私にはそのような製作ノーハウはなく。でも、いつかは金属製をつくりたいものです。

 個人的にうれしいのは、これまでほとんど手がけたことがない分野のパズルをカタチにできたことです。
 そして、これが自作品としては最新のパズルです。

-----

 最初の話に戻って。

 もしかしたら「材料を大事にしたいのなら、そもそもくだらないパズルなどというシロモノをつくらないことだ」という人がいるかも知れませんが、ウーン、そう言われてしまったら、どう切り返すのがよりよいのか?

 まあ、そういう人はさておき、せめて、ちょっと遊んだ後、薄汚れてすぐにゴミになってしまうようなパズルをつくることはしないようにしたいものです。

 どの分野でも、すぐにゴミ同然の扱いをされるようなものをつくりたいと思っているデザイナーはいないでしょう。
 かくいう私も常にそのように考えてはいるものの、さて、それが実践できているかどうか?

 そんな風に弱気になることが全くないわけでもないのです。

 でもまあ、これはこの “LEO”とは別の話です。


この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 作業の合間に

    Excerpt:  ワンちゃんや他のパズル本体の製作作業の間間で、パッケージ用タイトル・ラベルや説明書をつくっています。 Weblog: PUZZLE of MINE racked: 2009-06-02 12:39
  • LEO black (製品版)

    Excerpt:   Weblog: PUZZLE of MINE racked: 2009-06-08 16:44